男子|オンライン対談 水町亮介さん×野山翔


新型コロナウイルス感染拡大防止の動きに伴い、約2か月間の活動自粛期間が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。男子バスケットボール部はチームで集まることが出来ない中、それぞれが自宅でトレーニングをしたり、今週からオンライン上でのトレーニング練習も開始致しました。
この時期だからこそ、応援して下さる皆様に何か新しいものをお届けできないか、と考え元プロバスケットボール選手であり学習院大学バスケ部のOB、水町亮介さんとのオンライン対談を行いました。お忙しい中、ご協力頂いた水町さん、改めてこの場を借りて感謝申し上げます。この記事を通じて、少しでも男子バスケ部の活動について知って頂ければ幸いです。

「周りのサポートがなかったら、途中で辞めていたと思います。」
野山:どんな学生生活を送っていましたか?
水町さん:学生生活・・・、1年生で佐賀から東京に行って、そうすると佐賀から学習院大学に行く人なんてほとんどいないわけです。そうするともう誰も友達がいないわけですよ。もう寂しくて寂しくて、仕方がない時にでかいやついるなということでバスケ部の方が声かけてくれて、本当は大学ではもうバスケやる気なかったんだけど、そこのバスケ部がすごく居心地が良くて、1年間やってみるかみたいなことで入部しました。高校の時に受験勉強でずっと部活やってなくて、それからいきなり大学の激しい練習に参加したらGWくらいに左足の第五中足骨を骨折してしまって、絶対辞めてやるって思って(笑) でもなんか辞められない魅力がバスケ部にはありました。それでリーグ戦で一応復帰して、1年間終わり、それで2年目もやるかってなって2年目もやって、そうすると対戦相手のレベルも上がっていって、そうするとどんどん楽しくなっていって、結果、3年間4年間と続けて最後は主将を任されました。
野山:なぜ大学ではバスケをやらないと思っていたんですか?燃え尽きてしまった感じですか?
水町さん:もう高校まででもういいかなって。そしたらさ、華の大学生活を思い描いていて、
野山:わかります。
水町さん:わかるでしょ?田舎の佐賀から東京行って楽しい思いしようかなっていうワクワクで行ったら、もう誰も友達いなくて、本当に寂しくて。それがきっかけです。
野山:バスケやろうかなという感じではなく、仕方なくって感じの方が大きいですか?
水町さん:うーむ。そうだね、、、(笑)
野山:それでも大学では優秀選手賞を受賞され、リーグ昇格も果たされたそうで、純粋にすごいなって
水町さん:いえいえ、そこはもう本当に俺まじでクソガキだったから、その辺を周りがサポートしてくれて、同期もそうだし、上の先輩、下の後輩も、コーチもOBOGもそうだから、その辺のサポートがなければ途中でやめてたと思います。
野山:OBやOGの支えって学習院すごいですよね。
水町さん:うん。すごいと思う。あまり高校まで経験したことなかったけどやっぱ大学入ったらすごいなって思いましたね。


水町さん:九州から上京するってなったらさ、もうこの華の都東京でさ、絶対何かやってやろうみたいなのがあるわけですよ。おい野山笑ってるだろ?(笑) 東京の人にはわからないかもしれないけどそういうのがあって、矢沢永吉って聞いたことある?矢沢永吉さんが広島から上京する時に、途中家も無い中上京して外でダンボールで寝てたらしいんだよ。それでもこれから始まる自分の伝説を想像したら眠れなかったって言ってて、めっちゃかっこいいって思って。そしていざ自分が上京したら都会の水が合わなくてしょっぱな嘔吐と熱で眠れなかったっていう(笑)俺と矢沢さんのレベルが違ったっていう話でした。
野山:(笑)。自分も佐賀行った時、吉野ヶ里遺跡のために行ったんですけど、ご飯美味しかったです
水町さん:ね。田舎の飯うまいよね。定食屋のご飯とか普通に美味しいよ。白米の質が違うからね。また機会あったら佐賀来て。

チームを作るうえで大切なこととは・・
野山:自分今主将やっていて最高のチームを目指しているんですけど、チームを作る上で大切なことって何ですか?アドバイスをいただけたらと思います。
水町さん: 実際に4年生の中では何か話し合っているの?
野山:実は自分が去年と今年と2年連続で主将を務めているんですけど、
水町さん:そうなんだ。


野山:今年2年目なんですね。その点においてはやりやすいんですけど、何かイマイチ現状まとまっているとは言えなくて、、最上級生の4年生がお手本というかしっかりしないといけない中で、最上級生としてみんなで話し合っているかと言われると、何かこうしようというみたいなディスカッションはしているんですけどイマイチそれが続かないというのが今の問題なんですよね。
水町さん:最高のチームっていうのは4年生が決めたの?
野山:はい。スタッフと4年生で話して、今年からはザックリとした目標だけではなくしっかり目的も考えてやろうということで、目的を考えた時にただ勝つだけではなくて、最高のチームになろうということで出したんですけど、そこは1つ今年ならではの活動じゃないかなと。
水町さん:今さ、秋田のジュニアユースの軸を決めようということで、目標は大学生だとリーグ優勝とかだと思うんだけどそういう取り組みは素晴らしいと思う。なぜそこの目標目指すの?って、そのなぜに答えられる回答を準備して、なおかつ、4年生の間でしっかり共通認識持てれば、徐々にまとまっていくかな。今振り返ってみたら、大学1年生の頃に4年生が四部優勝するんだって言ってて、俺クソガキだから、「なんだよそれ、よくわかんないよ」みたいなこと思っていたね。それで骨折してなおさらそれに対して何も響かなくてただもう練習やるし、特に目標は意識せずに試合も自分らしくやろうっていうのしかなかった。それでも上に上がれたってことは4年生がしっかりしてて、そういうベクトルのずれてる下級生もしっかり拾い上げてくれたからだと思う。目標だけではなく目的も決めたのは素晴らしいと思うので、そこは4年生がブレずにやれば俺みたいなクソガキいるかわからないけども、個性豊かな人いるかもしれないので、その人たち全員が共通認識、共通言語持っていればめちゃくちゃ強いチームになると思う。それでもそれは難しいというか、目指すのはそこなんだけど、横道にずれてるとかそういうところをフォローしたり、下級生の中の中心となるような人たちも巻き込めば、俺みたいなクソガキも当事者意識を持ち始めると思うので、そこは頑張って欲しいです。
野山:自分も意識はしているんですけど、ビジョンを明確に、何のためにやっているかというのを示してあげることが大切だなって。そうすれば例えば練習の質なども上がると思います。
水町さん:そこはね。「何のために部活やってるの?」って聞かれて答えられる人いるかな。いるとしても答えはまちまちだろうね。俺も1年生の時に聞かれても、『いやバスケなんとなくやってます。』とかあやふやな答えをしたと思うけど。個人としてはやっぱりそこも明確な目的持つのが大切だと思う。最後の4年生のチームだし、後輩は先輩の背中見て育つよ。
野山:頑張ります。ありがとうございます。

「チームに関わる全ての人の力が選手の力になる」


野山:次の質問は・・・、出ましたね(笑) 最高のチームとは?
水町さん:出ましたねって(笑)
野山:出ました(笑) 水町さんが思う最高のチームは何ですか?
野山:あ!でも先に自分たちにとっての最高のチームについて話しますね。
水町さん:うん教えて。
野山:これは各々違っていいと思っていて、主将としての最高のチームというのは、今季最後の試合が終わった時に、このチームに関わった全ての人たち全員と抱き合って喜べるチームを理想としています。どう思いますか?
水町さん:(笑) いや素晴らしいでしょ。未来を想ってそのことがイメージできるんでしょ?周りもそこはすごくそういうチームいいねって思うと思うよ。特に4年生とか。あとはそこから逆算してそうなるためにみんなで話し合って決めていけば近づくんじゃないかな。
野山:そうですよね。こんな感じなんですけど、水町さんはどうですか?大学生時代やプロ時代などでのチーム作りを通して様々な主将経験を持つ水町さんの意見を聞きたいです。
水町さん:最高のチームかあ。でもな、プロでは勝ち負けが大事で、もちろん毎年毎年選手変わる中でみんな切磋琢磨して目標に向かって何十試合も戦うので良いチームというのはわかるんですけど、最高のチームって言われたら何だろうね(笑) でも野山くんが言っていたことはすごく共感しますね。プロでもブースターという方々も巻き込んで1つになって戦うので、そういう人たちの力が選手の力になるので、それは最高のチームの要素かなと思いますね。


野山: やっぱりプロの世界において一番大事なことってやっぱり勝ち負け?じゃないですか。ブースターの人たちから厳しいお言葉を受けると思うんですけど、学生スポーツとは違って難しいですか?当たり前なことなのですが。
水町さん:うん。そこはちょっとチーム作りとしては難しいかな。最高のチームか、、、頼!最高のチーム教えて
笹山:野山と同意見です(笑) みんなそこに賛成してやっています。
水町さん:菜々子ちゃん!当てられないと思ってたでしょ今。菜々子ちゃんは4年生? そらちゃんは?
伊藤:2年生です
水町さん:あ2年生なの。なら下級生の意見も聞いたほうがいいよ。そらさんは最高のチームについては知っているの?
伊藤:チーム全員共通で知っています。
水町さん:みんなは納得しているの?いや俺がもし下級生だったら「何だよ最高のチームってよくわかんねえよ」って言ってたよ。だからそういう人周りにいない?大丈夫?
伊藤:下級生は大丈夫です。
水町さん:ああならよかった。じゃあ大丈夫じゃない?キャプテン!俺らめちゃくちゃ言ってたから(笑)その節は本当に先輩たちすみません(笑)
水町さん:難しいなぁ最高のチーム
野山:まぁなんか答えはないんですけど大体みんな想っている事は一緒かなって。

「フラットな状態で集まれている所が学習院バスケ部の魅力」
野山:次の質問です。OBである水町さんから見て、学習院バスケ部はどのような価値や魅力がありますか?
水町さん:大学自体キャンパスがたくさんあるわけでも大きいわけでもなくて、小規模というのが大学としての魅力だと思う。特にスポーツ推薦ない中で、バスケを部活でやりたい人が集まってフラットな状態でやっていることが魅力だと思います。
野山:なるほど・・・
水町さん:何だよ。
野山:いやもう模範解答すぎて、・・・
水町さん:模範解答を求めてるんでしょ?(笑)
野山:求めてます素晴らしいです(笑)
水町さん:高校3年生もターゲットにしているんでしょ?用意してきましたよおじさん(笑)
一同:(笑)。
野山:ありがとうございます。

部活動は人間形成の場か。


野山:個人的に聞きたいことなんですけど、最近部活動について考えることがあって、部活動って教育的な存在、人間関係とか人格形成の部分が大きいと思っていて、僕の友達が今アメリカ行っていて、つい最近彼と話したんですけど、日本と海外の違いについてアメリカの部活って教育的要素がないらしいんですよ。ただそのスポーツを極めたい、楽しみたいとい思いでやっているらしく、水町さんはどう思いますか?
水町さん:今ジュニアユースとか小学生を教えていて、自分が振り返ってても、上からコーチが言って従うしかないというか選手に選択肢がないというのはあると思う。海外と比べたら、当事者意識が選手にあまりないというか、言われたことはやるけどその目的とかをあまり知らされずにやるみたいな。海外だと、生徒が『コーチなぜこの練習をやるのですか?』みたいな会話が普通に行われているから、そこで生徒も理由がわかるし、先生も聞かれたから勉強して答えを用意しなきゃいけないだろうし。人間形成とかはスポーツと通じてめちゃくちゃ大事だと思う。海外でもそうはいっても規律とかはしっかりしていると思うよ。そういう日本は日本で良いところあるし、海外は海外で良いところがある。ただ行き過ぎると上から言われて下手すれば体罰が問題になってくるので、海外の良いところを吸収しつつも、日本の良いところを大切にするべきだ思う。プロのチームでも厳しいコーチいて「しっかり脱いだ靴並べろ」って外国人選手にもそれを徹底させていたよ。俺も靴が散らばっているの嫌だし、家に帰って靴が散らばっていたら嫌じゃない?
野山: 嫌ですね。
水町さん:うん。それならそこは無理に海外に合わそうとせず、日本のやり方で良いんじゃない?それをやらなきゃダッシュだとかそこまでいったらやり過ぎだとは思うけど。なので生徒との会話とかは積極的に設けていますね。
野山:やっぱりみんなそのスポーツをやりたくて部活に入ると思うんです。人間形成しようって思って部活に入ってくる人は多分少ないと思うんで、そこの比率が難しいなと思います。
水町さん:そこはもう指導者の考えというか、コーチングとして自分で気づかせる指導が一番理想だと思いますね。まあ、あとは言い方だよね。頭ごなしに言われたらイラっとしちゃうもんね。
野山:なるほど勉強になります。

現役の選手へ、水町さんからのメッセージ
:最後に現役の選手へ一言もらえればと思います。


水町さん:学習院大学バスケ部の皆さんこんにちは。秋田ノーザンハピネスアカデミックコーチをしています水町と申します。2年前に13年間のプロ生活を引退しまして、、、学習院のOBですよ!今ちょっと色々な事情で練習できないと思うんですけど、インターネット上にはスキル動画などがあがっていると思うのでそれ観て、頭のバスケットIQなどを鍛えつつも、次の練習に向けていつ再開しても大丈夫なようにしっかり準備してください。4年生はチームのことは考えて活動していますので今シーズンのリーグ戦終わった後に最高のチームだったなと思えるくらいにみんなで一緒に戦い抜いてください。楽しみにしています。
一同:ありがとうございます。
水町さん:想いは素晴らしいと思うのであとは行動にしっかり移してね。4年生が行動すれば後輩はついて来ると思うので頑張ってください。

水町さん、お忙しい中対談に応じてくださり、本当にありがとうございました。

学習院大学籠球部男子マネージャー南菜々子